近年、天候や気圧の変化による「気象病」は人だけでなく、犬にも影響を与えることがわかってきています。特に季節の変わり目や台風・低気圧が接近する時期には、元気がなくなったり、体調を崩したりする犬が増えます。
「なんとなく元気がない」「いつもより食欲がない」といったサインが、実は“気圧”と深い関係があるかもしれません。
この記事では、犬の体と気圧の関係を科学的な視点と実際のケア方法の両面から解説します。
私たち人間と同じように、犬の体も外気圧の変化に敏感に反応します。特に低気圧の接近時には、犬の体内でさまざまな生理的変化が起こります。
気圧が下がると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、自律神経の働きに変化が生じます。
犬の場合も、この影響で
低気圧下では血管が拡張しやすくなり、人間と同じように犬にも“痛み”や“重だるさ”を感じやすい状態になります。
特に関節炎や腰痛などの持病があるシニア犬では、この影響が顕著です。
気圧が下がると空気中の酸素濃度もわずかに低下します。敏感な犬や高齢犬は、この酸素の変化だけでも強い倦怠感を感じることがあります。
犬によって症状はさまざまですが、気圧の変化でよく見られる不調のサインは以下の通りです👇
特にシニア犬、気圧変化に敏感な犬種(小型犬・短頭種)、持病のある犬では注意が必要です。
すべての犬が気圧に敏感なわけではありません。特に不調が出やすいのは次のようなタイプです。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| シニア犬 | 自律神経の調整力が落ち、気圧変化の影響を受けやすい |
| 小型犬 | 体が小さいため、外部環境の変化を強く受ける |
| 持病持ち(関節疾患・心疾患など) | 気圧変化で症状が悪化しやすい |
| 短頭種 | 呼吸器系が弱く、酸素の変化に敏感 |
| 敏感気質の犬 | 音・匂い・環境変化にも反応しやすく、気象変化にも影響されやすい |
特に台風シーズンや梅雨の長雨の時期は、こうしたタイプの犬に注意が必要です。
犬も人と同じく内耳で気圧を感じ取っています。外気圧が下がると耳の内圧とのバランスが崩れ、めまいや頭痛のような不快感を感じる場合があります。
自律神経の乱れにより、ホルモンの分泌にも影響が出ます。これは、食欲や消化機能にも関係しており「食べない・便がゆるい」といった症状の原因になります。
不安感を感じやすい犬では、気圧の変化=環境の変化としてストレスを感じ、ストレスホルモン(コルチゾール)が上昇します。これがさらなる体調不良を引き起こすことも。
気圧による不調をゼロにすることは難しいですが、ちょっとしたケアで愛犬の負担を大きく軽減することができます。
気圧の変化とともに湿度や温度も変動します。体への負担を減らすためには“外の影響を最小限にする”ことが大切です。
特にシニア犬や持病のある犬には、温めるケアが効果的です。自律神経が整い、体のこわばりや痛みも和らぎやすくなります。
気圧が低い日は犬もだるくなりがちですが、生活リズムを崩すと自律神経の乱れが長引きます。
この3つを守るだけでも、気象変化への耐性が高まります。
気圧変化による不調時には、体を温めるケアとあわせてツボの刺激も効果的です。
| ツボ名 | 位置 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 百会(ひゃくえ) | 頭のてっぺん | 自律神経を整え、リラックス効果 |
| 命門(めいもん) | 腰の背骨上 | 体温調整・免疫アップ |
| 三陰交(さんいんこう) | 後ろ足の内側 | 血流促進・ホルモンバランス調整 |
| 神門(しんもん) | 前足の手首近く | 不安感をやわらげる・心を落ち着かせる |
このとき、強い圧ではなく「軽く触れる・温める」がポイントです。温灸を併用することで、より効果が高まります。
気圧の急な変化が予想される日は、あらかじめケアの準備をすることが大切です。
スマートフォンアプリや天気予報で「気圧グラフ」を確認しておくと便利です。
関節疾患や心疾患を持つ犬は、気圧変化による症状悪化が起きやすいので
気圧の変化は、体の基礎体力が落ちているときに特に影響を受けやすくなります。普段から
気圧が下がる日は、犬だけでなく飼い主もだるさを感じやすいものです。飼い主が不安やイライラを感じると、犬はその空気を敏感に読み取ります。
「今日は気圧が下がってるから、ゆっくり過ごそうね」と声をかけ、落ち着いた雰囲気をつくることもケアの一部です。
気圧の変化は避けられないものですが、飼い主が少しの工夫をすることで愛犬の体調不良を大きく軽減できます。「なんとなく元気がないな」と感じたときは、天気予報をチェックし、ゆっくり過ごす時間をつくってあげてください。